過つは彼の性、許すは我の心 壱


 勢い良く菓子パンに齧り付くと「先輩わんぱくだなあ」と片肘をついて私を見守る惣倉君が、ボソリと。


「でも、先輩が天條とはね」

「…ほうほうへ(何か訳知りで)?」

「いえいえ。俺如きの口からはとても、とても」


 2人分の視線が黙秘を貫いていた男に注がれる。

 黙々と筆記する手を止めて、私達を見返す七三分け眼鏡の男。


「…」

「…」

「…な、何かようかな。僕から話すことは何もないが?」


 真面目を絵に描いたよう様な男こと今清水君は、沈黙に耐えかねてクイっと眼鏡を上げて、自分は冷静であるとアピールしているが、彼がこの仕草をするのは都合が悪いことをどう処理するか考えている時。


「ねえ惣倉君。何で今清水君はこう言っていると思う?」

「そうですね、この俺様をお前の事情に巻き込まないでくれってことだと思いますよ」

「俺様とは言っていない!」

「でも巻き込まないでくれは本当なんだ」

「はっ!これは…誘導尋問!卑怯な!」

「今清水君って頭良いのに何でそんな感じなの?」

「でも、今清水先輩って一部のお姉様方には人気らしいですよ」

「はあへ〜どういうところが人気なの?」

「ウブな感じがいいらしいですよ。色々教えて上げたがりな肉食系のお姉様には大人気とか」

「はあー知らない世界だ」