過つは彼の性、許すは我の心 壱


「いや何でいるんだ…」

「しっ!聞こえるぞ」

「火ノ宮君達来てないし」

「あの噂本当だったんだ…」


 教室が騒めいている。

 ちゃんと教務室にも出向いて(此処で教員全員が立ち上がるハプニングに遭遇)時間通りに教室にも着いて(此処でもクラス全員が立ち上がるハプニングが起きて)遅刻しなかったことにホッと安心する場面だけど、終始ざわざわで落ち着かない。


「はい、お義兄さ…天條君」

「それわざとだろう」


 原因は明確。

 集められたノートを彼に渡し、私は教材を持つ。


「あ、あの唐堂さん」

「ん?」

「て、手伝おうか?」


 チラリと私じゃなく天條君を見ていうんもんだから、ああと察する。


「いいよ、天條君にもやらせなきゃ」

「えほんとうに」

「ほら行こうお義兄さ…天條君」

「やっぱりわざとだろう」


 私が歩き始めると文句を言いつつも、天條君が後を追ってくる。

 教室から出れば、視線という視線が集中し過ぎて櫛刺しにされている気分だったが、何のその。

 学校のパンフレットに起用どころか、どっかの映画のポスターに出てなかった?っていうハンサム男が、ノートの束を持って運んでいるのがかなり物珍しいらしく、廊下中の視線を頂いている。

 ただ、1番衆目を集めている男はどこ吹く風。

 慣れてんだろうなあと思いながら、小市民の私は出来るだけ視線を気にしない様歩くことに集中する。