よくよく周囲を見れば談話室にはかつてない人集りが出来ていた。
彼等の視線の多くは日に照らされた天條君で、これから雑誌の撮影でもすんの?ってぐらい美しかった。
寝起きにこの天條君は…キツイ。
「おはよう…天條君…偶々サングラス持ってたりしない?貸して欲しいんだけど」
「持ってないが」
「だよね。因みに天條君寮生だっけ?」
「いいや」
「じゃあ何でここにいるの?」
リアル目が目がー!になりそうな目を擦りながら聞けば「迎えに来た」と、これまた主語なしに返答してくる。
「誰を、」
迎えに来たの?そう続ける前に、擦っていた手に誰かの手が触れる。
白く長い指先、でも節くれだった男の人らしい手。
「お前を」
「…え?」
天條君の手が擦っている私の手に重ねられ、行動を強制的に止められる。
「擦るな、傷つくぞ」
そして、私の顔に自分の顔を近づけた。周囲から黄色い悲鳴と絶叫半々といったところ。
長い影が落ちるほどの睫毛と力強い黒い瞳。
妃帥ちゃんに似てて若干ドギマギ。
「ど、どうしたの」
「目は傷ついてないな」
「…ありがとう。心配してくれたの」
人が目の前で撃ち殺されても気にしなさそう(酷い)な天條君から気遣うようなことをされると、確かに彼に惚れる人が続出してもおかしくはないなと納得した。



