過つは彼の性、許すは我の心 壱

 

 あーだこーだと言いながら、生徒会室にも行って挨拶を済ませて、洋直ちゃんと連絡先を交換して…よくよく考えたら濃厚な1日を終える。

 寮に帰った時は流れ作業のようのご飯食べてお風呂入って、ベッドにダイブしてそのまま寝ていた。

 そして、案の定起きたら遅刻とか思いきや、ドアをドンドン叩かれて目を覚ました。

 一応1人部屋だからいいものの…。


「唐堂さん唐堂さん!」

「どーしたの?朝っぱらから」


 部屋のドアを開けたら、制服をキッチリと着こなしている同じ寮生の子は「ちょっと早く顔を洗って、着替えてほら早く!」ともう一度部屋に入れられる。


「何なのもう…」


 ドアの外からでも「早くしてね!」と念押しされて、観念しながら支度した。

 で、ちょっぱやで支度をさせられて、押されるがまま男女兼用の談話室に行ったところ。

 窓辺で佇む男の前に連れて来られた。

 全ての均衡が完璧に整えられた男の醸し出すアンニュイな空気に、声を掛けられず私も彼女も立ち尽くす。

 ふいに外を見つめていた男の、天條君の視線が私達に向けられた。

 ビクンと目の前に立っていた寮生の子が、思い出したかの様に起動する。


「つ、連れて来ました!」

「…助かった」


 自分の役目を終えた寮生は、きゃーと言いながら自分の友人達の輪に戻っていく。