過つは彼の性、許すは我の心 壱


『女子用の制服、久々に袖を通しました…本当にいいんでしょうか?』
 
『いいのいいの、こういう時に使うのも用途の一つだよ』


 多分。

 最後に心の中で付け加えた言葉を言ったら、洋直ちゃんパニクリそうだから言わないけど、セレブ学校だし、多めに見てもらおう。

 そう、保健室。

 洋直ちゃんがおもちゃ…ごほんごほんフレアに加入したせいで、周囲からなにかと嫌がらせを受けてきた訳だけど、制服をこれでもかと汚されて、仕方なしに親戚に頼んで男子用の制服を着てたらしい。

 前に保健委員の子と話しをしていた時に、聞いた覚えがあったけど合ってて良かった。

 姿見の前でくるくる回る洋直ちゃんを見ながらホッとする。

 某有名ブランドデザインのブレザーの制服は、質素ながらも庶民にとっては値段が中々張るもの。

 私でもカレー食べる時は慎重になるぐらいだから、特待生で入学した洋直ちゃんの絶望はいかほどか。

 保険医いないのに勝手に触っちゃったけど、最悪何か言われたら天條君の名前をゴリ押ししよう。きっとどうにかなる。(他人任せ)

 ある程度髪を梳いて整えれば、やっぱり可愛い洋直ちゃん。

 眼鏡じゃなくてコンタクトにしたらと言ってみたら、どうやらお母さんの形見らしく、それ以上は何も言えなかった。