「…君からすれば妃帥ちゃんは、変な奴を獅帥に紹介したから、君に罰を与えたと思っているってこと?」
そう、よくある話しだった。
どれだけの人が獅帥に狂わされたことか、ここにいる人間達は嫌でもそれを知っている。
「そうだよ。でも、こんなのしょっちゅうなんだよ。もう子供って歳でもねえのに、一々獅帥の交友関係なんて注意してらんねえよ」
「んー…皆んな同じ意見なの?」
正直烈と同意見で、綴は順に私やマサ達の反応を見ていたが、似た様な反応が返ってきたみたいで「そっか…」と納得してない様子だった。
顎に手を当てて考えていた綴は、ふと視線を上げる。
綴と目が合って少しドキリとする。
ここまで綴の言動に振り回されていたからか、次に何を言われるのかと少し身構えてしまう。
「まあ、」
何を言うのかと思ったら、
「今はいっか。じゃあ洋直ちゃん待たせているし、じゃ」
リアルにズッコケそうになったの初めて。
「ちょっと、気になる様なこと言って帰っちゃうの?」
「誰も答えが分からないなら、分からないもの同士で考えていても仕方なくない?」
「巫山戯るくせに急に正論ぶつけるの、なんなのこの子?」
「さあ…」
私に聞かれましても。
食い付くマサを適当に遇らう綴を横目に、そっけなく楽に返す。



