過つは彼の性、許すは我の心 壱



「…君からすれば妃帥ちゃんは、変な奴を獅帥に紹介したから、君に罰を与えたと思っているってこと?」


 そう、よくある話しだった。

 どれだけの人が獅帥に狂わされたことか、ここにいる人間達は嫌でもそれを知っている。


「そうだよ。でも、こんなのしょっちゅうなんだよ。もう子供って歳でもねえのに、一々獅帥の交友関係なんて注意してらんねえよ」


「んー…皆んな同じ意見なの?」


 正直烈と同意見で、綴は順に私やマサ達の反応を見ていたが、似た様な反応が返ってきたみたいで「そっか…」と納得してない様子だった。

 顎に手を当てて考えていた綴は、ふと視線を上げる。

 綴と目が合って少しドキリとする。

 ここまで綴の言動に振り回されていたからか、次に何を言われるのかと少し身構えてしまう。


「まあ、」


 何を言うのかと思ったら、


「今はいっか。じゃあ洋直ちゃん待たせているし、じゃ」


 リアルにズッコケそうになったの初めて。


「ちょっと、気になる様なこと言って帰っちゃうの?」

「誰も答えが分からないなら、分からないもの同士で考えていても仕方なくない?」

「巫山戯るくせに急に正論ぶつけるの、なんなのこの子?」

「さあ…」


 私に聞かれましても。

 食い付くマサを適当に遇らう綴を横目に、そっけなく楽に返す。