獅帥が『何している?』そう問いかけただけで、蜘蛛の子を散らすようにいなくなったみたいで、獅帥は怪我をした洋直を介抱までして、烈の両親の所まで送り届けたらしい。
「妃帥さんから声を掛けられた時はビックリしたけど。し、獅帥先輩の為になるならって…」
洋直が獅帥を見つめるその視線は甘く、何処か艶めいていて。
「…っ」
胸が騒めいた。
ティーポットを握る手に力が入る私を他所に、洋直は「ああでも烈のお母さん達になんの説明も、」なんて今更のこと言っている。
「大丈夫よ洋直。私の方からちゃあんとお話を通してきたし。あ、勿論お給金も出るから心配しないでね」
火傷跡があるものの獅帥によく似た顔で微笑んで見せた妃帥に、洋直は顔を真っ赤にして頷いた。
………何を考えているの妃帥。
そう思ったのは私だけじゃなく、
「はーい、質問質問」
烈の隣に座っていた楽がゆるりと手を挙げて聞いた。
「どうしたのかしら?」
「お手伝いってどんなことすんの?」
「んーお兄様はどうしたい?」
獅帥の態度は依然変わらない態度で「…好きにすればいい」と淡々と答えた。
今の所獅帥は彼女の美しさに惹かれているわけではなさそうなので、少しだけホッとする。
でも、
「お手伝いって結局何すんの?」
楽のその言葉に、柘榴の様な赤い唇が歪んだ。
ゾクリ、と背筋が震えた。



