ただ流石に、獅帥も自身のお父様から注意が入ったらしく、暫く私も獅帥の周囲も穏やかに過ごせていた。
なのに、
「ねえ、お兄様紹介したい人がいるの」
彼女…天條妃帥は、必ず平穏をぶち壊す。
「お入りなさいよ」
妃帥に促されて、入り口のドアが開かれる。
立っている私の近くでソファーに座っていた烈の、息を呑む音が聞こえた。
「あの、ひ妃帥さん?」
「ほうら入って入って」
妃帥はくすくす笑いながらヒロナに近づき、招き入れた。
汚れ一つない白いワンピースに、櫛で梳かれた艶のある黒色のショートヘア、化粧も本人の可愛らしさを活かすような派手すぎないメイク。
彼女の純真さと少女特有の垢抜けさが、またヒロナの良さを際立たせている。
今じゃ考えられない、街で歩いていたら誰もが振り返る美少女。
それがその時のヒロナだった。
「なんっで!」
飛び上がるように立ち上がった烈。
美少女は美少女でも、その時点ではヒロナが何者か知らなかった私達は疑問符しかない。
ただ、嫌な予感はひしひしと感じていた。
「え…烈何で?」
「ヒロナお前何でこんなとこ!」
ツカツカとヒロナと妃帥に近づこうとした烈の前に、
「お辞めください、烈様」
「テメェ…!カズミ!」
相変わらずふざけた格好のカズミが立ち塞がった。



