過つは彼の性、許すは我の心 壱


 でも、嫌だった。

 それだけの関係で終わるのを。

 その他大勢になるのを。

 思いを伝えなければずっと傍にいられる。

 そんな幸運を得られる方を選んでしまった。

 遊び相手に選ばれた者達を可哀想にと哀れみながら、一方で虚しい嫉妬心を隠す。

 少し前も男が酷く獅帥に入れ込んで危うく心中騒ぎになったが、こんなこと1度や2度じゃない。

 獅帥は度々入れ込みすぎる女のみならず、男にまで危険な目に合わされている。

 彼ならば力で捩じ伏せるのなんて簡単なことなのに、そうしない。

 だって、獅帥が脅威に感じてないから。

 要は獅帥の中で、妃帥以外の人間は一律同程度の価値しかない。

 価値がないのだ、誰も。

 付き合っていくうちに彼等は、獅帥の寵愛を受けたと勘違いしてその事実に気づく。

 そして、彼の中に爪痕を残そうとして凶行に走る。

 この繰り返し。

 周囲もややうんざりしているが、仕方ない。

 彼にそれだけの価値があるからこそ、皆が献身的に尽くす。

 その彼から生涯で一度でも触れられる。

 それを幸運だと思うに留めるべき、そう思わなければやってられない。

 きっと彼の傍で正気を保っている人間の多くは、私と同じ様に思っていると思う。

 それでも彼に相手ができる度に胸が軋む様な気持ちになるのだから、嗤えてしまう。