彼女は振り返りながらも、図書室を出ていった。
綴は烈に向き直る。
ゆったりとか、のほほんとか合いそうな綴の雰囲気の延長で、
「ヒロナちゃんの扱いって、もしかして何だけど、貴方が何かしちゃったからなの?」
時が止まった気がした。
「っおま、え」
「やっぱそうなんだ」
ふーんと私達の顔を見渡す。
「妃帥ちゃん、ヒロナちゃんのことは興味無さそうだったけど、君の反応を楽しんでいる気がしたから」
「…っ」
綴が意外と人を見ていることに驚くとともに、そう言えばと思い出す。
妃帥の、が いつものお遊び始まったのは、ヒロナが彼等の玩具になる前、
「お兄様。ちょっといいかしら」
天條本家である獅帥の私室に、妃帥が現れたことからだった。
眼鏡を掛けた獅帥の視線が妃帥に向けられる。
私達も作業の手を止めて、2人の兄妹に視線を合わせた。
その日もいつものように獅帥の家業の手伝いのために皆が集合していた。
限られた人間しか入れない私室は、あいも変わらず調度品一つ一つが高価なアンティークや歴史的価値のあるものばかりで埋め尽くされており、入り慣れている私でさえここにいるだけで少し緊張する。
私に関して言えば、特別仕事を任せられているわけではない。
お茶やお菓子を提供するような、使用人でも出来てしまうことをしているだけで、別に彼等のように仕事を与えられているわけでもないんだけど。



