「今私結構幸せなので、幸せお裾わけしてあげますよ」
彼のこめかみがぴきりと浮き立った。
「…ハア?」
「あら綴ってば優しい」
「いいの私余裕があるから」
「そうね、私からもお裾分けしましょうかしら」
「えー妃帥ちゃんの幸せは私に頂戴よ」
「まあ綴ったら強欲ね」
「人って愛を知ると強欲になるんだね、私も知らなかった」
うふふぐははと笑いながら三文にもならないイチャラブ劇場をしてあげれば、私が真面に男と話す気がないことが分かったようで、男がブチ切れた。
「テメエら…!」
振りかぶる男から妃帥ちゃんを守るように私とカズミさんが前に出る、が。
「やめて!」
「ヒロナっ」
「唐堂先輩に酷いことしないで」
………切迫した状況で思うのもなんだけどモサイさん、ヒロナちゃんって言うんだ。
病院に来てくれてた時、丁度頭がぼんやりしてて名前聞いてなかった。
「お前コイツが、」
「…獅帥先輩の妹さんには、確かに酷いことされたよ。でも唐堂先輩は、私に優しくしてくれた」
「…」
「噂知っててもちゃんと私を、フレアのお気に入りでも、烈のくっつき虫でもないように見てくれて、優しい言葉かけてくれた」
「…」
「色々追い込まれてたから、救われたよ私は」
「…」
「家でも学校でも私って存在はいるけどいないような感じで、私って何なんだろうって思っていた。でも、唐堂先輩は私のことちゃんと見てくれている」



