「名前なんだっけ」
「綴ちゃんだろ」
近寄って来るのは、美少年と美丈夫。
………どうでもいいけどここの空間の顔面偏差値の高さエグいな。
「清維の知り合いだっけ」
「知り合いっていうかクラスメイトよ。マサもそうでしょ」
「そうだっけ。こんな子いた?」
「ほら刺されたクラスメイトいたでしょ。それが綴」
どうも清維はここの空間にいる人と知り合いらしい。
チャラ系の美丈夫と腹黒っぽい美少年につっけんどんに返すところを見ると、そこそこ気心も知れているみたい。
ボケーっと話を聞く私の横で、
「え、綴ってお兄様の女に刺されたっていうあの?」
着物の少女が驚いたように私を見つめる。
お兄様?
疑問が口から飛び出る前に。
「ーーー 妃帥」
低く明瞭な声に場が静まる。
カツ、カツ、カツと男が歩く音が響く。
私達の周囲に集まっていた人達が自然と左右にはけていく。
「お兄様…」
着物の少女がポツンと呟く。
固唾を飲んで男の行動を見守っていると、私の前で止まった。
「…」
「…」
180センチ以上はある、ワイルドイケメンに劣らない恵体の持ち主は「どういうことだ」と言いながら着物の少女を見下ろした。
「…どういうことって?」
「ミケって言っただろう」
「それが?」
「本気か」
「ええそうよ。お兄様とは違って私は摘み具合なんてしないもの」



