過つは彼の性、許すは我の心 壱


 獅帥君は私達から離れて、使用人に何事か確認している。
 
 でも一瞬チラリと見えた。

 見えてしまった、赤色。

 見間違いだと思った、だってそんな筈無いと思ってて。

 思ってて?

 何でそうじゃないと思った?

 人が死んだから?

 
「お兄様どうだったの」


 難しい顔をした獅帥君は「天女目の…」と話し始めて、次に続く名前は聞き覚えがなかった。

…後から思えば女の名前だったんだけれど、その時は内心パニックだったから、簡単な思考も出来なかった。

 だからか、獅帥君の言葉が頭の中に入って来ず、


「詳しい事は分からないが…死んだ」

「え」


 獅帥君の顔をギョッと見る。

 でも圭三郎さんが行ったから大丈夫じゃ…。

 そんな私の淡い期待に獅帥君は首を振る。


「上階から落ちて、そのまま地面に叩きつけられたーーー即死だった」

「っ…」


 淡々と無表情に、人の死について話す獅帥君。

 その他を凌駕する美しさも相まってか、場違いにも神様が下界に降りて来て、人々に信託を授けに来ている様にも見える。

 そうだ、現実味が無いんだ。

 夢の様なホールの会場も、着飾った人々も、人の死さえも。

 自分が立っている場所も夢なんじゃないかと未だに思ってしまうぐらい、この家で見聞きする事は現実とは思えなかった。


「死んだ?アレが?」


 考えがフワフワとする私の横では、天條兄妹が会話を続けている。

 そうだ、妃帥ちゃん。