「なら帰りましょう。お兄様が勝手した所で、誰も文句言えないわ」
「…そうだな」
天條兄妹は帰る算段をつけていて、とてもじゃないが凌久君を探しに行こうよとも言えなかった。
大丈夫…だよね?でも心配は心配だし…心の中で対立した意見が交互に行き来きする。
それこそ私1人でも…なんて考えていると、
「圭三郎」
「はい」
「戻るついでに、凌久を呼んできて頂戴。お兄様の名前を出していいわ」
パッと妃帥ちゃんを見れば「私のシンカンだから仕方なくよ」と片目をウィンクしながら、これまたツンデレ風味の言い訳をしてくれた。
もう我慢出来ない…!
「妃帥ちゃん大好きー!」
「ちょ、ちょっと綴!」
ガバリと抱き着いて気持ち嫌がる妃帥ちゃんに、高速スリスリをかます。
ーーーカチャリ。
「だからカチャリ止めてってカズミさん!」
「お嬢様から離れなさい。さもなくば永遠にお嬢様にスリスリ出来ない身体にしますよ」
「スリスリ出来ない身体って何!?」
胸元からしれっと銃(スタンガン)を取り出そうとする男に、慌ててホールドアップする。
「…綴様は凄い人だ」
………何が凄いんだ?
カズミさんから背中を向けずにゆっくり距離を取りながら(猛獣と会った時の対処法)圭三郎さんを見る。
「これは妃帥様が選ばれた理由が分かる」
「ふふ…」
「…」



