過つは彼の性、許すは我の心 壱


「なら帰りましょう。お兄様が勝手した所で、誰も文句言えないわ」

「…そうだな」


 天條兄妹は帰る算段をつけていて、とてもじゃないが凌久君を探しに行こうよとも言えなかった。

 大丈夫…だよね?でも心配は心配だし…心の中で対立した意見が交互に行き来きする。

 それこそ私1人でも…なんて考えていると、


「圭三郎」

「はい」

「戻るついでに、凌久を呼んできて頂戴。お兄様の名前を出していいわ」


 パッと妃帥ちゃんを見れば「私のシンカンだから仕方なくよ」と片目をウィンクしながら、これまたツンデレ風味の言い訳をしてくれた。


 もう我慢出来ない…!


「妃帥ちゃん大好きー!」

「ちょ、ちょっと綴!」


 ガバリと抱き着いて気持ち嫌がる妃帥ちゃんに、高速スリスリをかます。


ーーーカチャリ。


「だからカチャリ止めてってカズミさん!」

「お嬢様から離れなさい。さもなくば永遠にお嬢様にスリスリ出来ない身体にしますよ」

「スリスリ出来ない身体って何!?」


 胸元からしれっと銃(スタンガン)を取り出そうとする男に、慌ててホールドアップする。


「…綴様は凄い人だ」


………何が凄いんだ?

 カズミさんから背中を向けずにゆっくり距離を取りながら(猛獣と会った時の対処法)圭三郎さんを見る。


「これは妃帥様が選ばれた理由が分かる」

「ふふ…」

「…」