過つは彼の性、許すは我の心 壱




 そして「…獅帥君って辛くならない?」と語りかけた。


「何がだ」

「自分の感情を出せないって」


 しかもあんな、凝り固まっている思考の人達に諭すのだって一苦労だろう。

 オオミカだから特別をつくってはならないとか言われて、どんだけ妃帥ちゃんの事を大事に思っていても、その事を口に出せなくって。


「…困った事はない」

「本当に?」

「…」


 黙りこくった獅帥君を見て、ふうっと息を吐いた。


「ねえ獅帥君。私こう見えて口が固いんだ」

「…?」


 妃帥ちゃんと似た顔が不思議そうな顔をしている。

 その小動物めいた可愛いさにニヤニヤしそうなのを堪えて、優しく話し掛ける。


「…さっきも好きなものトークしようって言ったけど、それ以外の事も言っていいよ」

「それ以外の事?」

「アイツ超ムカつくー!とか、あの人素敵ー!とか」

「…」


 いまいち分かっていない様だけれど「要は、言わない様にしている事だよ」と言うとまた黙り込む。

 柳眉を顰めて考え込む姿にふふっと笑って、


「いんだよ、なーんでも。難しく考えないの」

「…」


 駄目だ、面白い。

 テストを受けさせたら、ほぼ100点しか取らない男が答えられないって…。

 フハハッ!と若干魔王っぽい笑いになりながら、八の字になっている獅帥君の眉間をえいえいと押していれば、


「獅帥様お待たせ致しました。患者は何方に…」