過つは彼の性、許すは我の心 壱



 ああなるほど。

 獅帥君のその言葉に、知らないじゃなくってわざと(・・・)知らない様に話しているんだと理解した。

 いつからかは分からないけれど、話聞いていたんだ…。


「匡獅様には私の方からお伝えします」

「頼んだ。出席者達には内密に」

「承知しております」

「獅帥様!離して私は!」

「来るんだ!」
 
「大人しくしろ!」


 無感情に、無頓着。


「獅帥様どうしてなのですか!?獅帥様、獅帥様ああアアァァ!!?」


 一度でも情を交わした相手が助けを求めても、獅帥君は最後まで、冷淡に女を見つめるだけだった。

 冷酷なのかもしれないが、私としてはざまあみろと思ってしまう。

 それだけ女の、妃帥ちゃんに対する言い方は酷すぎた。


「綴、座れ」

「あ、はい」


 知らぬ間に私と獅帥君以外の人が誰もいなくなり、ふらふらと椅子に座り直す。


「はあー…」


 疲れたあ。

 背凭れに全体重を預けて、溜息を零す。この数十分濃かった。


「…すまなかった」


 私の座る足元にしゃがみ込み、見上げながら獅帥君は謝罪をした。


「…ん?なんで謝るの?」

「巻き込んだ」


 さっきの女の事を言っているのか。

 心なしかシュンとしている気がして、ちょっと可愛らしく見える。こう頭わしゃあ!としたくなる…いや本人落ち込んでいるんだよね。いかんいかん。


 ごほんと邪な?気持ちを振り払って1つ咳払い。