「断れた事もないって言いましたけど、求められた事はないんですか?普通なら可笑しくないと思いますけど…ああそれだけのお相手なんですね貴方」
現実を突きつけて見よう。
女はギリッ…と音が聞こえそうなぐらい歯を食い縛り、
「そ、それでも公の場では私を重用してくださいました!」
と、振り払う様に言った。
「それも春日さんに言われてって聞きましたけど?」
「だとしてもッ!」
「それも妃帥ちゃんに言われたらとっと貴方を使う事を辞めたし…貴方じゃなくても良かったんじゃないんですか?」
そう言ってしまえば、女は拳をぎゅうっと握って、親の仇の様に睨みつけてくる。
椅子を挟んでいるから大丈夫だと思うけれど、今にも殴り掛かりそうな気迫を感じてちょっと怖い。挑発し過ぎたかとも思ったが、
「このッ…!」
女は取り繕う事も忘れて、感情のまま叫ぶ。
それが、決定的に女の運命を決めるとも知らずに。
「…あの不良品が、天條として生まれた癖に何1つ責務を果たせもせず、妹と言う立場だけで獅帥様の傍にいるしか脳のない愚物が選んだだけある!口も悪ければ、理解力も無い!お前が特別なのではない!精々一時の輝きを楽しめばいい!アレは直ぐに、」
途中だった、でもそんなもの関係がない。
自分でもビックリするぐらい早く女に近付き、手を振り上げていた。



