でもこれも良いキッカケだとも思い、彼の家へと向かった。
時々隣の我が家にいても怒鳴り合う声が聞こえる彼の家は、近所でも遠巻きにされつつあって、その日もそうだった。
恐らくまた彼の両親と彼が怒鳴り合っているのだろう。
彼の両親が怒鳴るのは、非行に走った恋人の後を追い掛ける息子を、必死に止める為と言う至極まともな理由で、仕方のない事でもあった。
丁度その日も家族と大喧嘩をしていた彼は、私を見て驚きつつも、どうやら彼も誰かと話しかったらしく、流れでそのままあの子の話を聞く事になった。
彼の話では、悪い上級生に声を掛けられて、それ以降とあるクラブに入り浸る様になったとの事だった。
『綴の話なら聞いてくれるかもしれない…頼む!』
幼馴染の強い懇願により、翌日には彼と彼女の入り浸るクラブに行く羽目になった。
私の家族の仲は良好だったが、進学とか、激務の仕事のせいで、家に家族自体が揃う事が少なかったから、家族が心配するとかで断る事が出来なかったと言うものもある。
どんなに夢見がちでも、実際に危ない人間がいる所には行くのには抵抗があったし、それに彼は知らなかったかもしれないが、あの子は私を虐めた事もあった。
だから、クラブで門前払いを食らった時は助かったと思ったのに。
『お前だけは入れてやるよ』
そう言われて、肝が冷えた。



