「キエイなんかと連んでいたなんて…案外綴ちゃんって遊んでいる感じ?」
もう耐えられない。
そう思った瞬間、
「おいここには男おらんのか」
大好きな彼の声がその場に響いた。
じわっと涙で瞳が潤む。
「海祇…」
「アホ、天條。つづちゃん顔が真っ青や」
黒いタキシードを着た渚君は本当に格好良くて、いつもならきゃー!渚君!と大騒ぎするのに、
「な、なぎ、渚君…」
今の私は弱々しい声で渚君を呼ぶ事しか出来なかった。
「つづちゃ、」
渚君が私に手を伸ばし掛けてーーー。
「…つづちゃんごめんな」
伸ばした手を引っ込めて堪えた。
弱々しく眉を下げて、何故だか私に謝る渚君。
渚君が謝る事なんて何もないのに。
「天條目立つ。ちゃっちゃとつづちゃん連れて行かんかい」
言われて初めて私の様子に気付いた獅帥君は、ウェイターを呼んで皿とフォークを預けると、私の肩を抱いて何処かへと誘う。
「あ、ちょっと」
「お前は俺とお話ししような」
背後で天ヶ衣さんと渚君の声が聞こえる。
ごめん渚君。
そう心の中で謝りながら、獅帥君に連れられて会場を後にした。
「ーーー少し座ってろ」
こくんと頷きながら、長椅子に座らせてもらう。
連れて来られた場所は、パーティー会場だったホールから少し離れた所にある部屋で、使用されていないゲストルームだと言う事だった。



