過つは彼の性、許すは我の心 壱



「キエイなんかと連んでいたなんて…案外綴ちゃんって遊んでいる感じ?」


 もう耐えられない。

 そう思った瞬間、


「おいここには男おらんのか」


 大好きな彼の声がその場に響いた。

 じわっと涙で瞳が潤む。


「海祇…」

「アホ、天條。つづちゃん顔が真っ青や」


 黒いタキシードを着た渚君は本当に格好良くて、いつもならきゃー!渚君!と大騒ぎするのに、


「な、なぎ、渚君…」


 今の私は弱々しい声で渚君を呼ぶ事しか出来なかった。


「つづちゃ、」


 渚君が私に手を伸ばし掛けてーーー。


「…つづちゃんごめんな」


 伸ばした手を引っ込めて堪えた。

 弱々しく眉を下げて、何故だか私に謝る渚君。

 渚君が謝る事なんて何もないのに。


「天條目立つ。ちゃっちゃとつづちゃん連れて行かんかい」


 言われて初めて私の様子に気付いた獅帥君は、ウェイターを呼んで皿とフォークを預けると、私の肩を抱いて何処かへと誘う。


「あ、ちょっと」

「お前は俺とお話ししような」


 背後で天ヶ衣さんと渚君の声が聞こえる。

 ごめん渚君。

 そう心の中で謝りながら、獅帥君に連れられて会場を後にした。


 
「ーーー少し座ってろ」


 こくんと頷きながら、長椅子に座らせてもらう。

 連れて来られた場所は、パーティー会場だったホールから少し離れた所にある部屋で、使用されていないゲストルームだと言う事だった。