「長い期間同じ女連れ回す事ないから珍しくって、興味本位で女と一緒に見に行ったんだ」
冷たさと痛さと辛さ。
イメージしたものと程遠い行為は心に傷跡を残し、彼といた時の記憶は変わってしまったあの子と重なって、胃の中までぐるぐるし始める。
天ヶ衣さんが私を見つめるが、あの時と一緒だ。
愚か者を見る様な、蔑む様なあの目。
怖くて他に視線をやれば、幾重にもある視線が私達に…私に集中している事に気付いた。
こんな美男子2人が同じ場所に入れば、注目を集めても仕方ないけれど、
『唐堂さんって』
『人の彼氏盗る様な女の友達よ?元々そうだったんでしょう』
『この間もクラブの部屋で、複数で…』
『うわあ…マジ?』
『しかも、ヤバげな薬使ってたんだって』
『頭可笑しいんじゃない?』
嫌でも思い出してしまう。
逃げたかったのに、それでもポケットは振動して、彼女と彼が私を手招く。
逃げなきゃ、傍にいなきゃ、逃げなきゃ、傍にいなきゃ。
色んな事がぐちゃぐちゃに混ぜって、どろどろになる。
皿とフォークを持った手に力が入らなくなって来て、滑り落ちそうになったが、
「綴どうした?」
獅帥君がすかさず皿とフォークをキャッチしてくれる。
ありがとう。
そう言いたいのに、
「綴?」
心配する声にも反応できず、好奇の目に俯き、口元を押さえる。



