過つは彼の性、許すは我の心 壱


「長い期間同じ女連れ回す事ないから珍しくって、興味本位で女と一緒に見に行ったんだ」


 冷たさと痛さと辛さ。

 イメージしたものと程遠い行為は心に傷跡を残し、彼といた時の記憶は変わってしまったあの子と重なって、胃の中までぐるぐるし始める。

 天ヶ衣さんが私を見つめるが、あの時と一緒だ。

 愚か者を見る様な、蔑む様なあの目。

 怖くて他に視線をやれば、幾重にもある視線が私達に…私に(・・)集中している事に気付いた。

 こんな美男子2人が同じ場所に入れば、注目を集めても仕方ないけれど、


『唐堂さんって』

『人の彼氏盗る様な女の友達よ?元々そうだったんでしょう』

『この間もクラブの部屋で、複数で…』

『うわあ…マジ?』

『しかも、ヤバげな薬使ってたんだって』

『頭可笑しいんじゃない?』


 嫌でも思い出してしまう。


 逃げたかったのに、それでもポケットは振動して、彼女と彼が私を手招く。

 逃げなきゃ、傍にいなきゃ、逃げなきゃ、傍にいなきゃ。

 色んな事がぐちゃぐちゃに混ぜって、どろどろになる。

 皿とフォークを持った手に力が入らなくなって来て、滑り落ちそうになったが、


「綴どうした?」


 獅帥君がすかさず皿とフォークをキャッチしてくれる。

 ありがとう。

 そう言いたいのに、


「綴?」


 心配する声にも反応できず、好奇の目に俯き、口元を押さえる。