過つは彼の性、許すは我の心 壱


 初めて会った人に対して思うのもアレだけれど、この人ちょっと苦手。

 何だろうチャラいからって言う理由じゃなくって、変に胸騒ぎする。


「綴がお前の知り合いだったとは思えないが」

「いや俺と遊んだとかじゃないと思うんだよなあ。どっかで見たとかそんな感じだと思うんだけど」


 私の場合こう言う嫌な胸騒ぎって、大体当たる。


「あ、そうだ。思い出した!」


 そう、しかもそれはーーー。


「繁華街でアイツと一緒に歩いていたっしょ。 キエイ君(・・・・)と」


 最悪な形で訪れるのだ。

 自分の呼気が乱れる。


「キエイ?」

「そ、結構な不良君でさ。一応タメだし、ウチの学校に通っているらしいよ?」


 心臓が嫌な音を立てている。


「女の子が格好良いけど、ヤクザ半殺しにしたとかで近寄り難いって言っててさあ、あでもワル好きな女には大人気みたい」

「…そんな奴いたか?」

「んーまあ登校すらしてないらしいし、知らなくても無理ないよ」


 息が苦しい、どうやって息って吸っていたんだっけ。

 ぐにゃぐにゃ視界が揺れて来た。


『ま、待ってやめ、て』


 言葉は届かずに、身体をベッドに押し付けられる。

 私の抵抗なんて塵にも等しく、腕は拘束されて無理矢理にでも身体に触れられる。

 男は、


『ーーー黙ってろ』


 言葉通りに私を貪り尽くした。