初めて会った人に対して思うのもアレだけれど、この人ちょっと苦手。
何だろうチャラいからって言う理由じゃなくって、変に胸騒ぎする。
「綴がお前の知り合いだったとは思えないが」
「いや俺と遊んだとかじゃないと思うんだよなあ。どっかで見たとかそんな感じだと思うんだけど」
私の場合こう言う嫌な胸騒ぎって、大体当たる。
「あ、そうだ。思い出した!」
そう、しかもそれはーーー。
「繁華街でアイツと一緒に歩いていたっしょ。 キエイ君と」
最悪な形で訪れるのだ。
自分の呼気が乱れる。
「キエイ?」
「そ、結構な不良君でさ。一応タメだし、ウチの学校に通っているらしいよ?」
心臓が嫌な音を立てている。
「女の子が格好良いけど、ヤクザ半殺しにしたとかで近寄り難いって言っててさあ、あでもワル好きな女には大人気みたい」
「…そんな奴いたか?」
「んーまあ登校すらしてないらしいし、知らなくても無理ないよ」
息が苦しい、どうやって息って吸っていたんだっけ。
ぐにゃぐにゃ視界が揺れて来た。
『ま、待ってやめ、て』
言葉は届かずに、身体をベッドに押し付けられる。
私の抵抗なんて塵にも等しく、腕は拘束されて無理矢理にでも身体に触れられる。
男は、
『ーーー黙ってろ』
言葉通りに私を貪り尽くした。



