過つは彼の性、許すは我の心 壱



 あの獅帥君を軽々と呼んだ人物を見る為に振り返る。


「獅帥何してるんだよこんな所で…あれ新しい子?」

「トヨキ…」


 獅帥君がトヨキと呼ぶ男は、私の中で知るチャラそうなイメージの木野島君や凌久君を遥かに越すチャラさだった。

 その男は「名前何て言うの?」と、言動の端々にその軽さを滲み出させながら近付いてくる。


「…唐堂綴です」

「へえ綴ちゃんね」


 華やかな整った顔立ちに正装パワーもあるから、周囲の視線を十二分に集める程の美男子。


「君さどっかで会った事ない?もっと一緒にいれば思い出しそうなんだけどなあ…この後どう?」


 でも チャラい(・・・・)。圧倒的に。

 こう言う厳かで格式のあるパーティーで、相当派手なピアス付けているし、髪も発色の良いオレンジ色でツーブロっぽい髪型、目は黄色のカラコンを入れているし、似合ってはいるんだけれど、ありなのか。


「綴」


 訝しげにチャラい男を観察していれば、獅帥君に呼ばれる。


「コイツは天ヶ衣豊起(あまがいとよき)。天ヶ衣の後継者だ」


 天ヶ衣。


『獅帥のことは分からへんけど、アマガイって奴は自分がおもろい感じたらどうでもええって奴やわ』

『…それは、』

『アンタも分かってるはずや。アンタに希望を持たせつつ、弄び、酷い目に遭うたら慰めて、どこの詐欺師やでアイツ』


 もしかしてあのアマガイさんの事?