私の生きて来た世界と、獅帥君の生きて来た世界の違いは、いつも突如として現れる。
獅帥君が それに違和感を感じているわけでもないからこそ、より恐ろしく感じるし、慎重に言葉を選ばないといけなくなる。
「…獅帥君は、」
渇いた喉を潤す様に唾を飲み込んで…口を開いた。
「納得しているの、その決まりに」
獅帥君は私の問い掛けに、何の躊躇いも感じせずに語る。
「納得するしないの問題じゃない。オオミカとはそういう存在だ」
「…」
「人とは隔絶した存在であるべきで、人がオオミカを崇め奉るのなら、オオミカは平等に人に施しを与え愛さなければならない」
崇め奉る、施し、愛さなければならない。
普段なら聞く事の無い言葉の数々。
壁が、世界が、隔てられている。
私は獅帥君の事を何も知らない、知らないんだ。
そして、獅帥君は好きなモノはない。
短い一瞬だったけれど、私にとっては永遠にも長い時間。
小さな頭脳を働かせて叩き出した答えは、
「…よし作ろう、好きなモノ」
しょうもない事だった。
………いやいや!しょうもなくはない!…はず。(ちょっと弱気)
「それは、」
「分かってる。オオミカは、特定の好きな物をつくってはならない、でしょう」
だから、
「秘密で作ろう」
こうすればいいんでしょう。



