過つは彼の性、許すは我の心 壱



 私の生きて来た世界と、獅帥君の生きて来た世界の違いは、いつも突如として現れる。

 獅帥君が それ(・・)に違和感を感じているわけでもないからこそ、より恐ろしく感じるし、慎重に言葉を選ばないといけなくなる。


「…獅帥君は、」


 渇いた喉を潤す様に唾を飲み込んで…口を開いた。


「納得しているの、その決まりに」


 獅帥君は私の問い掛けに、何の躊躇いも感じせずに語る。


「納得するしないの問題じゃない。オオミカとはそういう存在だ」

「…」

「人とは隔絶した存在であるべきで、人がオオミカを崇め奉るのなら、オオミカは平等に人に施しを与え愛さなければならない」
 

 崇め奉る、施し、愛さなければならない。

 普段なら聞く事の無い言葉の数々。

 壁が、世界が、隔てられている。

 私は獅帥君の事を何も知らない、知らないんだ。

 そして、獅帥君は好きなモノはない。

 短い一瞬だったけれど、私にとっては永遠にも長い時間。

 小さな頭脳を働かせて叩き出した答えは、


「…よし作ろう、好きなモノ」


 しょうもない事だった。

………いやいや!しょうもなくはない!…はず。(ちょっと弱気)


「それは、」

「分かってる。オオミカは、特定の好きな物をつくってはならない、でしょう」


 だから、


秘密(・・)で作ろう」


 こうすればいいんでしょう。