ふわりと後ろから抱き締められた。
甘くていい匂い。
甘ったるくも、どろりとしたその声に腰砕けそうになった。
ワイルドイケメン君の瞳が見開く。
なにシンカンとか、ミケとか、ミケってネコ?
パッと他の人の顔を見れば皆が皆驚いたような顔をしている。
何なんなの?
「綴」
「え」
くるりと後ろを振り向かせられる、私の両手を握り締める着物の少女。
小悪魔的な雰囲気と異なる妙な空気に、動きが止まる。
「私が、綴のオオミカ・・・・になる」
「へ?」
美しく微笑む姿は先程の頬擦りしたくなるようなものではない。
陰鬱で、儚くて。
「なって、あげるの。だって、綴助けて・・・欲しいんでしょ」
「っ」
ーーー邪悪なものに見えて、一歩後ずさりたくなる。
『綴はもっとグイグイ行かなきゃ』
『綴って可愛いわね』
『ふははは!綴…可哀想、本当に』
心をぐちゃぐちゃにしたあの子がダブる。
『ねえどうして、どうして!』
「大丈夫、私がなってあげる」
瞳は狂気に染まって、
「うん、て頷くだけでいいの」
血の怨嗟を吐き出す。
恋人同士の様に私を抱きしめて、耳元に口を寄せる。
そして、
『私はいつまでアンタの、』
「神様に」
甘言を囁いた。
それに、
「…っ」
ーーー堪らなくなった。
華奢な彼女の肩を掴み、バッと私から離す。
「綴どうし、」
「ならなくていい、いいんだよ」
彼女の言葉を遮った。
あの時言えなかったから、言わなきゃ彼女に。
あの子に。



