もしかして無表情ながらお腹は空いているけれど、緊張しているから食事が喉を通らない可能性もあるか。
「何か好きな物とかはないの?もしあるなら私取りに行くよ」
だから軽く聞いてみたけれど、今まで打てば響く様に答えた獅帥君の返事は、
「…いや」
その一言だった。
おや?とも思ったが「嫌いな物は?」と聞いてみた。
でも、
「…いや」
と答える獅帥君。
何だろう実はゲテモノ好きで、恥ずかしくって言えない!って事?
「大丈夫ドン引きしないから教えてよ」
世には色んな趣味嗜好があるんだから、好きなだけ言えばいいのに。
そんな思いで獅帥君に伝えれば、柳眉を僅かに顰めて。
「…ない」
「へ?」
「食べ物を美味しいと感じた事がない」
そう、獅帥君は言った。
…。
「味が分からないとか?」
「味は分かる」
「亜鉛摂ってる?」
「…味は分かる」
「そっか」
亜鉛不足じゃないのか。
「…食べた時にううん〜ま〜ってなる事無かったの?」
「ううんま?」
ああ私感覚で話しちゃった。
「幸せ〜最高〜マジヤヴァイィ〜とか」
ギャルっぽくなっちゃったよ、でも(無理矢理にでも)気持ちは伝わるか。
どう伝わった?と獅帥君を見れば、
「珍獣を見る様な目で見んでも」
「…」
はあ?何言ってんだお前、って言う目が痛い。



