過つは彼の性、許すは我の心 壱


 膨れっ面になる私をそれはもう楽しそうに、愛しげに見つめてきて、こっちはドキドキだ。

ーーー凌久君のちょっとした本音に少しだけヒヤリとしたけれど、土師凌久と言う1人の人の大事な事を知れて良かっと思った月夜の出来事。

 ただ、凌久君がその日に最後に話した会話。
 

『つづ。聞きたないかもしれへんけど…妃帥の事を信じ過ぎるな』


 甘くて口直しに塩っぱい物を食べたくなっていた私に、とっても苦いお言葉。


『え』

『…つづさっきの話はな。過去を探られる以外にもある』

『さっきの、獅帥君と一緒にいる事で受けるリスクの話?』


 頷く凌久君は考え込んだ様にボソリと。


『そう。そやけどそれに妃帥気付いてへんわけがあらへんのに、何で…』


 誰に言うもなく呟いたその言葉が今でも頭の隅に引っ掛かっている。

 リスク、リスクね…。


「綴」

「あ、ごめん獅帥君」


 気がつくと華やかなパーティーの最中だった。

 隣にはキッチリとタキシードを着こなした美しい獅帥君がいた。

 黒いタキシード、シャツ、ベスト、カフリンクス等々…ここは皇室の晩餐会ですかと言いたくなる決まりに決まった服装は、男自身の魅力にブーストをかけている。

 カズミさんのコスプレとは一線を画す様な出立ちに、シャンデリアの光ですら獅帥君に叶わない。