「赤うもなるわ」
仄暗い廊下でも凌久君の形の良い耳が、ほんのりと赤く染まっているのが分かる。
「ほんまに勘弁しなはれ…」
凌久君は恥ずかしさから口を手で覆いながら、そう呟いた。
「凌久君って女の子慣れしているから、私如きがこんな事しても恥ずかしがるなんて思わなかった」
珍しくてまじまじと眺めてしまう私を、呆れた様に見下ろしながら「あんな…」と言う凌久君。
ふと思い付いた様に凌久君が、自分の顔を私に近づけてくる。
「ちょ」
顔をぐいっと背けようとするが、頭をグッと押さえられる。
心臓がドクドクと高鳴る。
凌久君の秀麗な美貌が私の口元に近づいたと思ったら、するりと耳元の方に近付く。
またいやらしい事を言う気か!と構えると、そんな私を見てクスリと笑った凌久君は耳朶にちゅっと。
ちゅ。
ちゅ…?
ちゅ…!?
パクパクと口を開いて凌久君を見ると、ニヤリと口角を上げている。
そして、
「可愛いって思てる女に抱き付かれたら誰でもこうなる」
してやったり顔で意地悪く笑う凌久君に、もう降参。
冷え切った身体は一瞬にして熱くなり、私の顔は凌久君の赤くなった顔より赤く熟している。絶対。
「可愛いなあ」
「もうっ!揶揄うの禁止!」
余裕綽々ムカつく…!



