過つは彼の性、許すは我の心 壱

 

 お母さんって子供にとっては絶対的存在で、悲しい事があっても傍にいてくれるだけで安心する大事な存在だと、個人的には思う。

 その存在が何の前触れなく、忽然と姿を消して、しかも自分しか覚えていない。その上、自分自身も同じ様になるかもしれないって思いながら生きるって…。

 考えるのも恐ろしい話に、暖かくなった身体がどんどん末端に掛けて冷えていくのを感じた。


「元々四葉の父親…俺の祖父な…は外部の普通の人で、家風に染まってる祖母の考えについていけへんくなった。そやさかい離婚した。その時四葉は祖父について行った…ああ話逸れたな」


 凌久君は一度言葉を切った。


「母親がいーひんようになって周囲に怯えとったある日、偶然今の土師の1番偉い奴と四葉話しとったのを聞いた」

「…」

「話は俺も余計なリスクやさかいって処理するやら何とか」

「そんな…」


 何て言えばいいか、分からない。

 得体の知れない人達に襲われるかもしれないって言う恐怖は今までもあったけれど、危ない人達の素性が分かっていて、それが自分の血が繋がった相手。

 しかも、権力のある家のお陰か捕まってすらいないし、1人の人間の存在をいなかった(・・・・・)って言う事にして、それを多勢に強制することが出来る。