月に照らされた凌久君の横顔は、何処か神秘的で、いつもの煙に巻く様な態度と合間って幻想的にすら見える。
凌久君は、
「さっきつづ不思議に思た事あったやろう」
そう話し始めた。
「うん…」
匡獅さんと凌久君の2人の会話の中で、
『母親は土師の者で、未婚で自分を産んでから行方不明、父親は誰かは聞いていません。今は土師の本家に籍を置いています』
の、事だよね。
凌久君はそうそうと言って「アレちょいちゃうんだ」と付け加えた。
「違う?」
「母親の行方は知ってる」
「…そうなの?」
匡獅さん達の前では敢えて隠したって事?
首を傾げる私に凌久君は「正確に言うと母親がどうなったかは知っている」と訂正した。
「どうなったって…」
「死んだ」
「へ」
立ち止まって凌久を見る。
でも隣には居なくって、いつの間にか歩を止めていたから後ろまで振り返る事になった。
「もっと言えば、」
丁度影で見え辛くなった凌久君の顔は、私を可愛いだ何だ言った人と同じには見えなかった。
例えるなら、初めて会った時の惣倉君に似ている。
仄暗く闇深い所にいる別の誰かが、凌久君にの口を借りて話している様な気さえした。
そんな不気味さを纏った男は、淡々と。
「殺された」
「っ」
そう、言葉を放った。
背筋がゾクリと震えた。



