過つは彼の性、許すは我の心 壱



 月に照らされた凌久君の横顔は、何処か神秘的で、いつもの煙に巻く様な態度と合間って幻想的にすら見える。

 凌久君は、


「さっきつづ不思議に思た事あったやろう」


 そう話し始めた。


「うん…」


 匡獅さんと凌久君の2人の会話の中で、


『母親は土師の者で、未婚で自分を産んでから行方不明、父親は誰かは聞いていません。今は土師の本家に籍を置いています』


 の、事だよね。

 凌久君はそうそうと言って「アレちょいちゃうんだ」と付け加えた。


「違う?」

「母親の行方は知ってる」

「…そうなの?」


 匡獅さん達の前では敢えて隠したって事?

 首を傾げる私に凌久君は「正確に言うと母親がどうなったかは知っている」と訂正した。


「どうなったって…」

「死んだ」

「へ」


 立ち止まって凌久を見る。

 でも隣には居なくって、いつの間にか歩を止めていたから後ろまで振り返る事になった。


「もっと言えば、」


 丁度影で見え辛くなった凌久君の顔は、私を可愛いだ何だ言った人と同じには見えなかった。

 例えるなら、初めて会った時の惣倉君に似ている。

 仄暗く闇深い所にいる別の誰かが、凌久君にの口を借りて話している様な気さえした。

 そんな不気味さを纏った男は、淡々と。


「殺された」

「っ」


 そう、言葉を放った。

 背筋がゾクリと震えた。