「俺が単純に可愛いつづ見たいさかい」
「何言ってんの?マジで」
駄目だ、味方いない。
常識人が私しかいない孤立無援状態に、確なる上は特攻(どんな特攻かは聞かないで欲しい)もやむなしかに見えた。
しかし、匡獅さんがふと凌久君を見て「そう言えば、君は?」と、凌久君に問い掛けた事により私の戦い?は一旦収束。
当の問い掛けられた凌久君は持っていたスプーンを置いて、ナプキンで口を拭う。
そして、
「ーーーこの度妃帥様のシンカンとなりました。土師凌久です」
雰囲気をガラリと変えて、自分の名前を答えた。
さっきの巫山戯空気は一切無くなり、凌久君は匡獅さんを確かめる様な、探る様な眼差しで見つめている。
「土師か…」
少しだけ思案げに凌久君の名字を呟く匡獅さん。
おや何か訳アリか?と思ったが、ふと渚君と凌久君と話していた時の事を思い出した。
『今俺が中途半端に教えても訳分からへんくなるやろうし、』
『う、うん』
『俺から教えられたって関係者…特に俺の親戚どもに知られたら、つづの立場悪なる可能性もある』
『そもそも土師も天條を怒らしたことあってな。“月”の一族ほどとちがうけど、干され気味やねん』
って言っていたけれど…よくよく考えれば、凌久君ここにいても大丈夫だったのか。急に追い出されたりとかはないと思いたい。



