過つは彼の性、許すは我の心 壱

 

「俺が単純に可愛いつづ見たいさかい」

「何言ってんの?マジで」


 駄目だ、味方いない。


 常識人が私しかいない孤立無援状態に、確なる上は特攻(どんな特攻かは聞かないで欲しい)もやむなしかに見えた。

 しかし、匡獅さんがふと凌久君を見て「そう言えば、君は?」と、凌久君に問い掛けた事により私の戦い?は一旦収束。

 当の問い掛けられた凌久君は持っていたスプーンを置いて、ナプキンで口を拭う。

 そして、


「ーーーこの度妃帥様のシンカンとなりました。土師凌久です」


 雰囲気をガラリと変えて、自分の名前を答えた。

 さっきの巫山戯空気は一切無くなり、凌久君は匡獅さんを確かめる様な、探る様な眼差しで見つめている。


「土師か…」


 少しだけ思案げに凌久君の名字を呟く匡獅さん。

 おや何か訳アリか?と思ったが、ふと渚君と凌久君と話していた時の事を思い出した。


『今俺が中途半端に教えても訳分からへんくなるやろうし、』

『う、うん』

『俺から教えられたって関係者…特に俺の親戚どもに知られたら、つづの立場悪なる可能性もある』

『そもそも土師も天條を怒らしたことあってな。“月”の一族ほどとちがうけど、干され気味やねん』


 って言っていたけれど…よくよく考えれば、凌久君ここにいても大丈夫だったのか。急に追い出されたりとかはないと思いたい。