過つは彼の性、許すは我の心 壱


「ごほっ」

「ふっくく…!」


 獅帥君と凌久君が反応した。

 
「ほ、ほんまにつづ最高…!」

「ごほっごほっ…」


 凌久君は手で口を覆って笑いを堪え、獅帥君は執事さんにお水を貰って慌てて飲んでいる。

 普段寡黙な男の慌てっぷりは確かに笑えるものだが、私自身劇的な場の変化についていけなかった。

 正直私が匡獅さんに失礼な事を言った以外は、何も面白い事は起きていない筈。

 静かな空気が一転、冬から春に変化した。

 凌久君と獅帥君がそれぞれ自分の気持ちを落ち着けようと苦心している最中、妃帥ちゃんは冷めた視線で気不味そうにしている匡獅さんを見つめる。

 自分の子供の前でオープンに言う様な話じゃなかったって事に、どうやら今更ながら気付いた匡獅さん。

 批難めいた視線が集中するのも無理からぬ事だった。

 冬将軍もビックリの冷たさで、自分の父親を見つめている妃帥ちゃんの眼差しは、ドMなら垂涎の代物だけれど父親としては戦々恐々だろう。

 ただ、妃帥ちゃんは溜息を1つ吐いて、


「…お父様。お話はさておき、1つお願いがあるの。聞いてくださる?」


 きゅっとナプキンで口元を拭うと、今度は氷の様に冷たかった視線を和らげて父親を見つめた。


「お、おおう!何でも聞くぞ、島でも買うか?」