過つは彼の性、許すは我の心 壱


 私の質問に対して匡獅さんは「同じ図書員だって言っていたなあ」と普通に答えてくれた。

 匡獅さんは特にこの空気を作った事に対して、責任を感じていない様子だった。(感じる必要もないっちゃないんだけれど)

 空気読めないタイプなのか、読む必要がないと思っているのか。

 妃帥ちゃん達の間に流れる空気が凍った上に、冷静沈着そうな執事さんも一瞬戸惑った風に見えた事から、恐らく天條家ではタブーらしき名前…と思ったけれど、


「八重は私のシンカンだったんだ。八重は…他のシンカンとも折り合いが悪くてね。君の祖父母と付き合いが出来るまでは、特定の友人も作らなかったんだ」


 にしても普通過ぎる。

 何なら話し続けるし、どんどん名前を出すし。

 どう考えても八重と言う人の名前を出して、自分の子供の顔が暗くなっているのに、あんた自分の子供の顔見ていないのかと思う程に話をする匡獅さん。


「へ、へえそうなんですか…。2人とも凄いなあ…因みに何で匡獅さんは、祖父母と仲良くなかったんですか?あ、もし言い辛ければ大丈夫です」


 だから、こっちが気を使う羽目になる。

 取り敢えず八重と言う単語から引き離す。これに尽きる。

 匡獅さんがこの空気感に気付いているのか、いないのか分からない以上、私が努力せねばならない。