過つは彼の性、許すは我の心 壱


 匡獅さんって絶対に学生時代有名人だった筈なのに、おばあちゃんからもおじいちゃんからも匡獅さんの事を聞いた覚えがなかった。

 まさかおじいちゃんと出会う前の、浮き名を流していたおばあちゃんと何かあったの?

…でもそうとも考え辛いんだよなあ。

 おばあちゃんが匡獅さんとって…何か違うんだよね。

 おばあちゃんの事を知っているからこそ、あり得ないと思ってしまう。

 
「綴さんは何か聞いているかな」


 妃帥ちゃんの問い掛けには答えず、意味ありげな視線を送ってくる匡獅さん。

 心臓が飛び出しそうになったが「いえ特には…」と声を出すので精一杯だった。


「そうか…まあ話したくもないのかもしれないな。君のお祖父様…文啓(ふみひろ)さんに最後会った時は殴られた」


 匡獅さんはアッハハなんて笑っているが、あの獅帥君ですら驚きに魚料理を食べる手が止まっている。

 て言うか、もう魚料理まで来ていたんだ、無意識に自分がテーブルマナーを実践出来ている事に驚いたが、それ以上にあのおじいちゃんが?ええ?と言う驚きの方が強かった。

 おばあちゃんならあんまり疑問にも思わないけれど(キャットファイト無敗王者)おじいちゃんって穏やかそのものと言うか、優しくて、怒っていても暴力に訴える人じゃない。