過つは彼の性、許すは我の心 壱



 うわあ美人、うわあ美人。大事だから2回言った。


 薄らと残った左目を覆うようにある火傷跡なんのその。

 切れ長の薄茶色の瞳、石榴のように熟れた唇、柳のような眉に程よく高い鼻。

 神が丹精こめてパーツを創造、配置したであろう顔貌が、庶民平凡顔の胸元で花開くように笑っていらっしゃる。


 と、トンデモない美少女…!


 以前は顔を見せない様にしていたが、惜しげもなく披露する。タダで見ていいんですかこの芸術品。


「綴はどうしてこんなに所にいるのかしら?」


 こてんと首を傾げる姿は、小動物が首を傾げる仕草に似ている。


「か、か」

「か?」

「可愛いいいいいい!」

「ちょっと綴!」


 グリグリと頬擦りが止まらない、なにこの可愛い生物!


「つ、綴落ち着いて」

「可愛いいい本当すっごい、何でこんなに可愛いのおおお!」

「すみません」


 カチャリと側頭部に鉄の塊が向けられる。

 映画やドラマでしか見たことのない、その名も。


「ひえええ銃!?」


 しかもホールドアップした先には、


「お嬢様から離れて頂けませんか?性犯罪者」


 左目のモノクルが特徴的な、執事服着用のイケメンさんがいた。

 てか、


「性犯罪者!?」

「お嬢様に頬擦りするのなんて、二親等以内打首です」

「打首!?ご、ご勘弁をー!!」


 バッと突如現れた銃不法所持者男に土下座する。


「出来心だったんです!」

「性犯罪者は皆そう言うんですよ」

「ひえー!」

「もう、カズミ。綴をいじめないで」


 白い滑らかな手が私に差し伸ばされる。ドキン…とか言っちゃって惚れやすい自分が嫌になる。