過つは彼の性、許すは我の心 壱



「食べてまいたいぐらいってこう言う時に言うもんなんやなあ」


 呟いた。
 
 ま、待って。


「た、食べちゃいたい?」

「お持ち帰りもしたいなあ」

「お、お持ち帰り?」


 徐々に瞳に狩人を宿し始める凌久君に、一歩後退し掛けた所で、


「ちょっと勝手に持ち帰らないで頂戴」


 ぷんぷんと仁王立ちしている妃帥ちゃんに救われる。

 本当に急にギア上げるのやめて欲しい。

 
「綴は私が持ち帰るから駄目よ」

「え、妃帥ちゃんに持ち帰られちゃの?」

「天條は強欲やなあ」

「綴が私のミケである事は当たり前の事だから、強欲とは言わないのよ」


 再び心臓がドキーン!と飛び出し掛けていれば「皆様そろそろお時間が…」とカズミさんの急かしに今度は救われた。

…皆して凡人を弄り回さないで欲しい。マジで。


「じゃあ、私のエスコートは凌久。貴方がして」

「俺が?つづちゃんやのうて?」

「私と綴が一緒にいても、私の事を見下げる連中に綴まで下に見られちゃうでしょう。かと言って、凌久と綴が一緒にいても、私のミケとシンカンってだけで同じ事になるでしょう?」


 じゃあどうするのって話で、


「だから、お兄様。綴の事はお願いね」

「え、天條君?」

「…」


 天條君も何で?って顔になっちゃっているけど。


「別に凌久はここにいる人達にどう思われてもいいんでしょう?」

「…まあな」