「食べてまいたいぐらいってこう言う時に言うもんなんやなあ」
呟いた。
ま、待って。
「た、食べちゃいたい?」
「お持ち帰りもしたいなあ」
「お、お持ち帰り?」
徐々に瞳に狩人を宿し始める凌久君に、一歩後退し掛けた所で、
「ちょっと勝手に持ち帰らないで頂戴」
ぷんぷんと仁王立ちしている妃帥ちゃんに救われる。
本当に急にギア上げるのやめて欲しい。
「綴は私が持ち帰るから駄目よ」
「え、妃帥ちゃんに持ち帰られちゃの?」
「天條は強欲やなあ」
「綴が私のミケである事は当たり前の事だから、強欲とは言わないのよ」
再び心臓がドキーン!と飛び出し掛けていれば「皆様そろそろお時間が…」とカズミさんの急かしに今度は救われた。
…皆して凡人を弄り回さないで欲しい。マジで。
「じゃあ、私のエスコートは凌久。貴方がして」
「俺が?つづちゃんやのうて?」
「私と綴が一緒にいても、私の事を見下げる連中に綴まで下に見られちゃうでしょう。かと言って、凌久と綴が一緒にいても、私のミケとシンカンってだけで同じ事になるでしょう?」
じゃあどうするのって話で、
「だから、お兄様。綴の事はお願いね」
「え、天條君?」
「…」
天條君も何で?って顔になっちゃっているけど。
「別に凌久はここにいる人達にどう思われてもいいんでしょう?」
「…まあな」



