過つは彼の性、許すは我の心 壱



 妃帥ちゃんは瞳を一度閉じて、また瞬かせる。

 そして虚空を睨みながら、


「子供の頃は、天女目の女以外に接する機会がないし、ある意味刷り込み…洗脳よね」


 と忌々しげにボヤいた。


「え、ご両親は?」

「…聞いたかも知れないけど、7つの内は神の子。下界の穢れには触れてはならないって言って、私達は基本母親にも会う事すら許されなかったし、お父様はオオミカだけれど仕事が忙しくって全く来なかったわ」

「…お母さん、それで良かったの?」

「母も所詮は天條に連なる家の者だから、多少思う所はあったのかもしれないけれど、結局母も父も会いに来る事はなかったわ」

「…」


 絶句とはこの事。

 そう言えば、妃帥ちゃん達のお母さんは清維のお母さんと姉妹であること思い出す。

 子供を引き離されるってだけで、私が同じ立場なら発狂する自信があるけれど、そうも思わなくなってしまうものなのか。

………何だか繰り返される昔の慣わしに辟易して来た。

 改めて私ここでやっていけるのかと、不安になってくる。

 不安の渦に苛まれる私の傍で、妃帥ちゃんがポツリ。

 
「ーーー誰の為のしきたりなのかしらね」

「へ」

「いいえ、何にも。さ、綴。お兄様達を待たせているわ、行きましょう」

「う、うん」


 妃帥ちゃんが言った言葉。

 誰の為のしきたりか。