過つは彼の性、許すは我の心 壱



 即座に否定されてしまい、えじゃあ何なの?と首を傾げる。


「鳥兜の柄の青い着物の女じゃなくって、薔薇の柄の黒い着物を着た…天女目春日っていたでしょう」

「ああ…」


 女の嫌な部分を煮詰めて熟成された様な、夏場に見たら幽鬼と思うかもしれない恐ろしくも禍々しい気配を纏った老女を思い出す。

 序でに天女目春日は薔薇で、あの品定め着物美女の柄が鳥兜ね、と天條家に関わる様になってから増えた私の脳内人物名鑑に書き加えた。


「知っている?オオミカって7つの年までは親じゃなくって、天女目の者が乳母…教育者として育てるのよ」

「オオミカも?」


 こくりと頷く妃帥ちゃん。

 へえ…結構天女目って重要な役割なんだ。

 視界の端でカズミさんの手が僅かにだがピクリと動く。

 その様子に不思議に思いつつ、妃帥ちゃんに先を促した。


「そう。春日はお父様の養育にも携わる事もあったし…勿論私達もね。だからお父様ですら、余程の事が無い限り面倒だから逆らわないの」

「って事は、天條君も」

「拒否する理由が無いから。春日の命令であてがわれたあの女も、役割は果たしているし、天女目以外の女を選ぶとそれはそれで面倒だから」

「はあ…」


 どんなに凄い人でも母ちゃんには逆らえないって事か…ま、面倒臭いって部分が1番な気するけれど。