過つは彼の性、許すは我の心 壱


“私なんかを慕って可哀想な子”


 そう言っているのが分かった。

 時々こう言う境界線を敷いてくる妃帥ちゃん。

 こっちに来い来いと手を招く割には、貴方が見ても良いのはここまでと目を塞いで来る。

 見えない壁、溝…言い方は一杯あるけれど、向こう側で妃帥ちゃんと天條君が此方を見ないでお互いを見つめている、他人の介入を許さない、此方には何も期待しない、2人だけの空間で息をしている。そんなイメージ。

 もどかしい。

 そう思いながら、妃帥ちゃんに触れた。

 一瞬ピクリと震える妃帥ちゃんに、天條君が止めようとしてくるのを視線で縫い止める。

 
「…綴?」


 美しくも可憐な、生ける花の様な女の子。

 こう見ると右目の方が左目に比べると色が薄いんだなあとか、左目周囲の火傷跡?と思しき色素沈着した部分はもう痛くないのかなあとか、思いながら彼女の瞳の周囲を撫でる。

 そして、


「ねえ妃帥ちゃん。前聞いたよね私に」


 何を?と不可思議な行動を起こす私を見つめる妃帥ちゃん。


「なってあげるって」

「…言ったわね」


 神様にって。
 
 
「私は、妃帥ちゃんが天條じゃなくても、きっと妃帥ちゃんの事を大好きになったよ」

「それは、」


 あの子に似ているからでしょう。

 ハッキリとは言わなかったけれど、意図は伝わり、それに首を振る。