自分の目尻にある涙を拭いながら「ああ、本当に良かった。綴を選んで」とケラケラ笑う妃帥ちゃん。
「どうしたの綴」
「ううん別に」…」
ぎゅうっと妃帥ちゃんを抱き締めながら、何となく頬擦りする。
天女目春日が幾つか知らないけど、あんな怖い顔で自分の存在を否定してくる老女がいたら、トラウマもんだろう。
私だったらこんな可愛くて賢い女の子がいたら、毎日頬擦りして可愛い可愛いって言っちゃうだろうに。
そもそも、天條君達の両親は自分の娘を蔑ろにする集団を何で野放しにしているんだろう。
あの天女目春日のあの怨念の籠った様な瞳。
私の様な外部の人間にも悪意を隠さずに接している所を見るに、妃帥ちゃんにも害を与えそうな気さえするし、流石にそうなったら天條君も黙ってはいないと思いたい。
と、チラリと天條君を見ようとして、視界にとある物が入り込んで思考が止まる。
「あれ何で私のトランクが妃帥ちゃんのお部屋にあるの?」
「聞いてないの?綴」
「え?」
すりすりしていた妃帥ちゃんから離れて、妃帥ちゃんを見下ろす。可愛いなあ妃帥ちゃん。
「綴は滞在中、私の部屋にいるのよ?」
「……え?」
パッと手を離して、ホールドアップする。
カチャリ…「じゃないって!カズミさんさっと懐に手を入れるのやめて!?」
「カズミさんは別部屋なの?」



