過つは彼の性、許すは我の心 壱



 無表情って程じゃないけど、いつも表情にあまり変化のないカズミさんが、プルプル震えながら笑いを噛み殺していて、


「珍しい、カズミが笑うなんて」


 カズミさんといつも一緒にいる妃帥ちゃんが大きな目をまん丸にしている。やっぱり珍しい事らしい。

 当の天條君は柳眉が八の字過ぎて谷が出来ている所を見るに、カズミさんのプルプル笑いもよく分かる。


「ねえ綴」

「ふふははっ…うん?」

「そう言えばどうして綴は遅くなったのかしら」

「あ」


 大慌てで遅れた事を謝罪しつつ、天女目ズとの間にあったことを話した。

 妃帥ちゃんは私の話しを聞いていく内に、妃帥ちゃんの顔が喜悦に歪んでいく。遂には、


「ふっははは…!ごほっごほっ…!ふ、ふふっ…!」

「ひ、妃帥ちゃん大丈夫?」

「お嬢様」


 咳き込み始めてしまい、皆んなで足早に妃帥ちゃんの傍に寄ろうとして、手で制される。


「ふ…ごめんなさい、とても愉快で…ふふっ…」


 天條君の、妃帥なら喜ぶって言う言葉は嘘ではなかったみたいで、少し安心するが思っていた以上に喜んでいるのにやや違和感。

 でも、天女目春日の、あの妃帥ちゃんの存在すら認めていない言い方は、賢い妃帥ちゃんが気付かない訳ないし、今に始まった事ではないと考えると、もっと言ってやれば良かったと思ってしまった。