ドアの先から可愛らしい声が聞こえ、私はピクンっと身体が起き上がって、天條君の後ろに慌てて回る。
「来たぞ」
キィーっと音を立てて、開かれるドアの先には。
「遅かったわね、綴」
「妃帥ちゃん!!」
妖艶に微笑む赤い着物を妃帥ちゃんがいた。きゃああと痛くならない程度に妃帥ちゃんに抱き着くと「綴、元気にしてた?」と私の頭を撫でた。
「うん!妃帥ちゃんに会えると思っておめかしいつも以上に頑張っちゃった!」
一旦妃帥ちゃんから離れてぐるりとその場で回る。
「可愛いわ」
「ありがとう」
嬉しいと小躍りする私を見て、妃帥ちゃんは微笑み、次いで兄である天條君に視線を向けた。
「お兄様もそう思うでしょう?」
「…」
急に話を振られた天條君は顔には出てなくても、戸惑う雰囲気を感じた。
…え、そこまで可笑しい?凌久君は可愛いって言ってくれたけど…いや身内?贔屓もあり得るし、四葉さんも途中で変になったから実は変だったとか?
「はあ…お兄様って」
妃帥ちゃんはやれやれと額に手を当てて、兄をジト目で睨み上げた。
「こう言うの何て言うのかしら」
「ボンクラ」
「そうね、ボンクラ。貴方とは気が合いそう」
凌久君もシラっとした目で天條君を見てて、居心地悪そうな天條君が出来上がっていた。



