過つは彼の性、許すは我の心 壱


「気にしないなら言っても大丈夫だと思うけど、もし不安だったら私も一緒に言うから」


 そんなに怖い人なの?ヤのつく人なの?

 適当に返事してしまったせいで、清維はそのまま話を進めていく。


「怖そうに見えるけど噂ほどじゃないのよ」

「へ、へえ…」


 知りませんでしたー!テヘッ!と言いづらくなっちゃったよ。


「家が家だから怖がられることも多いけど、親しい人には優しいところもあるの…」


 清維の白い頬が少しだけ朱を帯びる。

 何となし庇う感じなのは何故…?おや。

 ピーン!と頭の中で何かが閃いた。


「ふんふん優しいところが好きっと」

「そう優しくって、」


 清維のバラバラと持っていた本が廊下に落ちて行く。


「…」

「…」


 ハッとなった清維は慌てて本を拾い上げて「ち、違うわ!幼馴染だからちょっと贔屓目に見ちゃってるだけで…」とワタワタとしている。あら可愛い。


「もう揶揄わないで」

「ふはは!ごめんごめん」


 プンプンしながら一歩先に行く清に慌ててついていく。

 スーパー美少女清維が好きになる男ねえ…。

 まあ同じクラスだから嫌でも会うことあるだろうし、後で他の友達に聞こう。


 そういえば幼馴染か。

 最近話ししたなあ。


『可愛いわ、綴』


 あの日のことを思い出す。