過つは彼の性、許すは我の心 壱



 嫌味とも言えない真っ直ぐな物言いに歯軋りしそうな天女目富儒。内心笑いそうになるが堪える。

 笑ったらそれこそ品が無いし。


「申し訳ありません、お名前をお間違いするとは」

「お祖母様」

「富儒さん、黙りなさい」

「っ」


 流石ご当主は引き際を分かっているのか、孫の醜態を広げない様に早々にー引っ込めた。


「どうやらあの…ミケ様は勝気でいらっしゃる」


 あのね。


「妃帥ちゃんの事ですね」


 名前で呼びなさいよとオブラートに伝えれば、


「ええ、いつもこうやってお兄様の足を引っ張りなさる」


 頑として妃帥ちゃんの名前を言わない。序でに私の名前を言わないらしい。

 ああ困った困ったと言う天女目春日。

 この人、私も妃帥ちゃんですら認める気ないのか。


………こっちも気を使う必要ないよね、もう。


「そうですね。これ以上皆様のお仕事の邪魔をしてはいけないので、私は失礼致しますね。オオミカ様達が待っていますから」


 貴方方の敬い奉るオオミカ様が私を待っている。

 それを分かりやすくお伝えすれば…うわあ怖い。

 能面みたいな表情なのに、明らかに怒気を感じさせる天女目春日。恐怖を煽られ、ごくりと唾を飲み込むが、なるほどとも思った。

 天女目富儒の痛い部分はオオミカ様か。