過つは彼の性、許すは我の心 壱

 

 彼女が口をゆっくりと開く。周囲の(特に天女目着物美女集団側の)静かさに、息がし辛く感じた。


「貴方はーー…」


 彼女はまっすぐ私を見つめる。

 そう、天條君が時々醸し出す雰囲気に似ているんだ。たじろくのだけはしない様彼女に向き合う。

 一応トップたる人間だし、それ相応に対応するべきだと思っていたけど、本来当主のやるべき事であるミケの教育を怠った挙句に、四葉さんに押し付けて、且つ目に見えた嫌がらせを放置しているってことを忘れていた。


 彼女の次に出した言葉は、


「水城清維様ですよね」

 
 ああこの人面倒で嫌な奴認定するには充分だった。

 四葉さんが一瞬呆気に取られた様な顔をしたが、直ぐに「春日様、この方は、」と訂正しようとした、が。


「春日お祖母様。違いますよ水城のお嬢様は、美しく気品に溢れた方で、こんな。ああ失礼」

「えと、何でしたっけ?私も忘れが酷くて…」

「大変ねえ…お疲れなのでは?」

変な虫(・・・)が来るかもしれないって聞いて、夜も眠れなくなったからかもしれないわ」

変な虫(・・・)?まあ怖い、良い駆除業者を呼んだ方が良いんじゃない?だって、オオミカ様達に何かあれば大変よ」

「そう大変じゃないんじゃないかしら?だって、あの不良品(・・・)が選ぶくらいだから、私達でも潰せるんじゃない?」