「妃帥様のミケであらせられる唐堂綴様と、シンカンになられた土師凌久様です」
私と凌久君は前に出て会釈をする。
また値踏みされている感じがして(その上で下に格付けされるのもセット)顔には出さない様に努めた。
「天女目富儒です。四葉さんの従姉妹にあたります」
「…よろしくお願い致します」
どう思われ様がこっちが礼儀を欠いたら負けな気がするので、心の苛立ちは見せずに短く挨拶を返した。
彼女は順々に着物美女達を紹介(さっきの感じの悪い女性もいた)し、最後に。
「そしてーーー天女目家の当主にして、私の祖母にもあたる天女目春日様です」
静観していた老女…天女目春日と呼ばれた彼女は、前に歩み出て、綺麗なお辞儀を見せた。
ゆっくりと顔を上げた彼女の瞳は、獲物を目の前にじっくりと観察する歴戦の兵士の如き目で私を見た。
身体が震えそうになる。
「ーーー天女目春日にございます」
人に命令するのに慣れた張りのある声。
しっかりと結い上げられた白い髪と、化粧をしていても見える皺から老齢であるのは確かだが、昔はとんでもない美女だったことが分かる顔立ちと、長い年月を経て熟達した所作や立ち振る舞いが、老いを感じさせないものとなっている。
この家の独特な雰囲気を一身に纏った女に、得体の知れない恐怖を抱いた。



