凌久君の態度に天女目さんは「…そうですね、考えが至らず申し訳ありません。ではご案内させて頂きます」と気にした風もなく、中へと私達を招く。
え、こんなに焦っているのは私だけ?
凌久君は「つづ行こう」と私を平然と促すし、天女目さんもニコニコして待っててくれる。
いつもの凌久君過ぎて、意外と自分が緊張していことに気付いた。
ふうっと息を吐いて「よろしくお願いします」と再度頭を下げて、私は天條邸へと足を踏み出す。
「唐堂様達はご滞在されるとのことで、先に私の方から説明した後のちに、獅帥様達の私室がある別館へとご案内します」
私室がある別館?となったが「はい」と取り敢えず頷いておく。
「私室への立ち入りは、限られた立場の者しか許されていないので、入り口のみまでのご案内になります。入り口からは獅帥様直々にするとのことですので、妃帥様に会えるのそれ以降になりますね」
「はい」
返事をしながら館内を観察しているが、置いてある絵画とか骨董品とかが、あれ美術の教科書で見ませんでしたっけと言うものばかりで、気持ち慄いていた。
屋敷の入り口からして凄かったし。
大きなエントランスには両脇に階段が付いているし、さっき別棟どうのこうの言っていたけど、入ると奥行きがあるのが分かるから、別棟なんて物があるのも頷けた。



