過つは彼の性、許すは我の心 壱


 口をぽかんと開ける様な事はしなかったが、それでも建物の壮観さに驚いてしまう。


………庶民代表みたいな私が、ここにいて良いんだろうか。


「すっごいなあ」

「うん」


 凌久君が傍にいてくれて本当に良かった。ありがとう、惣倉君と全ての人類に感謝。


「別の者が来ますので、私はこれで」

「あ、ありがとうございます」


 気づかぬ内にここまで運転をしてくれた人が、トランクから荷物を取り出して、そそくさと去っていく。


 すると、


「お待ちしておりました、唐堂綴様。土師凌久様」


 両扉の入り口から現れたのは、着物を着た嫋やかな女性。

 
「天女目の四葉と申します」


 細面の糸目の美女は、天女目四葉さんと言うらしい。

 お手本通りの会釈に身惚れていれば「唐堂様どうかされましたか?」と少しだけ困った様に眉を垂らした。


「あ、ごめんなさい!唐堂綴です!今日はお招き頂きありがとうございます!」


 慌てて会釈すれば「唐堂様どうかお顔を上げてください」と言われて、そおっと顔を上げた。


「此方こそ遠路はるばる来てくださり誠にありがとうございます。天女目でも末席にいる様な若輩者ですが、今日はしっかりと天女目の者として役目を全うさせて頂きますので、どうか御容赦下さい」


 恐縮する程の扱いに若干困惑するが、


「ちゃっちゃと行こう。疲れた」

「ちょっと凌久君」