お迎えに来てくれた人は「獅帥様達がお待ちしています」とだけしか言わなかったから、この人と2人っきりでいた可能性もあった。きっと私のことだから色々考えすぎてしまって、1人で参ってしまっていただろう。
凌久君をシンカンとやらにしてくれてと言った惣倉君には、改めて感謝しなくては。(勿論凌久君もだけど)
ふと、凌久君側の窓の風景が、真っ白な壁がひたすら続いていることに気付く。
「此処何かの施設とかかな?」
「天條家や」
「え」
凌久君の言葉に目が瞬く。だってこの壁見初めて数分経ってません?と思っていれば、風景が変わった。
「うわあ…」
感嘆とはこのこと。
大きな洋風のお屋敷に相応しい門が現れ、その前に車が止まると自動的に門が開かれた。
「ここも別邸ってやつ」
「そうなんだ…」
車が進むほど屋敷の様相が顕になる。
鹿鳴館を思い出すほどの歴史を感じるお屋敷は、都内近郊に佇んでも風景によく馴染んでいた。
「本邸はもっと田舎の方にあるらしゅうってな。ここには仕事をしやすうする為に作ったって聞いた」
「へえ」
「ほんでもここは実質本邸扱いや」
凌久君の豆知識を聞きながら「着きました」と運転席から声が掛かる。お屋敷の入り口へと車は滑らかに停車し、促されて降り立った。



