過つは彼の性、許すは我の心 壱


 な、ななな!


「〜っ!」


 ピョーンと後ろに飛び退く私に、凌久君は「飛んだ飛んだ〜」とケタケタ笑う。
 
 此奴…モテない女で遊びおって…!とメラメラと、土師凌久への憎しみを燃やしていれば、


「唐堂綴様、土師凌久様。お待たせしました」

「っ!」


 唐突な後ろからの声に、結局は凌久君にしがみつく羽目になった。


「お迎えや」

「び、ビックリした…」


 立っていた人は、白髪のスーツを着た壮年の男性で、正直カズミさんより執事服が似合いそうな人だなと思った。

 
「驚かせてしまい申し訳ありません」

「い、いえ…」


 淡々とその人は謝罪後に自己紹介してくれて、慌てて佇まいを正して挨拶をし直した。


「お荷物は」

「あ、こっちです」


 一応2、3日は泊まれる様にしておけって言われたから、スーツケースにしてきた。

 彼に私と凌久君の分を手渡し、車へと乗り込む。

 うわ…ふわっふわ。

 座り心地良くてまたびっくり。

 それに天條君達から香る甘い匂いが香って、鼻の穴が開きそうになったが、緩やかに黒い車が発進する。


「…」


 静けさしかなく、時間が経つにつれて緊張感が増してきたが、


「つづ大丈夫か?」

「あ、うん大丈夫」


 凌久君がいてくれて本当に良かったと心から安堵しt。

 だって、凌久君いなかったら1人で天條邸へ行くことになってたんでしょう?