な、ななな!
「〜っ!」
ピョーンと後ろに飛び退く私に、凌久君は「飛んだ飛んだ〜」とケタケタ笑う。
此奴…モテない女で遊びおって…!とメラメラと、土師凌久への憎しみを燃やしていれば、
「唐堂綴様、土師凌久様。お待たせしました」
「っ!」
唐突な後ろからの声に、結局は凌久君にしがみつく羽目になった。
「お迎えや」
「び、ビックリした…」
立っていた人は、白髪のスーツを着た壮年の男性で、正直カズミさんより執事服が似合いそうな人だなと思った。
「驚かせてしまい申し訳ありません」
「い、いえ…」
淡々とその人は謝罪後に自己紹介してくれて、慌てて佇まいを正して挨拶をし直した。
「お荷物は」
「あ、こっちです」
一応2、3日は泊まれる様にしておけって言われたから、スーツケースにしてきた。
彼に私と凌久君の分を手渡し、車へと乗り込む。
うわ…ふわっふわ。
座り心地良くてまたびっくり。
それに天條君達から香る甘い匂いが香って、鼻の穴が開きそうになったが、緩やかに黒い車が発進する。
「…」
静けさしかなく、時間が経つにつれて緊張感が増してきたが、
「つづ大丈夫か?」
「あ、うん大丈夫」
凌久君がいてくれて本当に良かったと心から安堵しt。
だって、凌久君いなかったら1人で天條邸へ行くことになってたんでしょう?



