寮生達に詳細を求められてなあなあに流しつつ、それからは外出申請とか、お泊まりの準備とか、課題の整理とか色々急ピッチにやった。
お宅訪問日の前日には、肌のケアも念入りにして、着ていく服も入念にチェックして、ちょっと寝不足になったりしながら当日。
少しだけ肌寒く、夏にしては涼しい陽気。
めかし込んだ私と凌久君は学園の校門の外で待っていた。
「つづ、可愛いな」
「ありがとう、凌久君」
淡い色合いのニットワンピースに、髪の毛は軽くアップにして、化粧もいつも以上にしっかりと行った。
「あーあ。俺の為やったら良かったのに」
凌久君はと言うと、薄手のテーラージャケットをメインにした服装で、髪型や丸い眼鏡は変わらないが、いつもと違う雰囲気にドキドキする。
「つづちょいドキドキした?」
「わ、私には妃帥ちゃんと言う人が!」
「ほーん、ドキドキはしたんや」
「は!」
誘導尋問だ!
今清水君もこんな気持ちだったのか!今清水君ごめんね今度謝るね。(絶対忘れる)
「どっかこのまま行かへん?」
「何言ってんの」
これからっていう時に。
上目遣いで見上げれば、ふっと笑って私の耳元に、
「可愛いつづを独り占めしたいさかい」
これでもかってぐらい熱を込めて囁いた。



